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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮旅行に必要な事前準備 (1)旅行会社選びと問合せ、行程決め編

北朝鮮旅行に行くためには、北朝鮮の国営の旅行社に申し込まなければなりません。

北朝鮮の国営の旅行社は何社かあるそうです。



ただし、その中で「日本人の」北朝鮮旅行を取り扱っているのは、北朝鮮国営の旅行会社の中で最大手である「朝鮮国際旅行社」という会社、1社のみだそうです。
(国際交流や、在外朝鮮人の祖国訪問であれば、別の会社が取り扱うことになるそうです。)

朝鮮国際旅行社(wikipedia)

ここが、世界で唯一の日本人の北朝鮮旅行に対応してくれる旅行会社だということになります。


※※※

少し話がそれますが、上記のWikipediaによると、

「通訳案内人には日本語、中国語、英語などの話者を揃えており、平壌外国語大学出身者で占める。」

とあります。

しかし、朝鮮国際旅行社のガイド本人に聞いてみると、平壌外国語大学出身の人はほとんどおらず、平壌観光大学出身者が同社のガイドの中では大半だそうです。

私たちについたガイドは観光大学出身の女性ガイドが1人、外国語大学の男性ガイドが1人でした。

外国語大学出身の男性ガイドいわく、平壌外国語大学の卒業生は、通信社に入社する人が多く、同大学出身で観光ガイドになるのは恥ずかしいことだ、と言っていました。

では、なぜその男性ガイドが外国語大学出身で観光ガイドになったのか?

それは、北朝鮮のガイド2人の話では、日本人の北朝鮮観光客がもう少し多かった頃(20年ほど前、北朝鮮が日本人観光客を初めて受け入れた1987年頃)と比べると、今は外交関係の悪化により日本人観光客が激減し、いまや年間たったの150人にまで落ち込みました。

これにより、平壌観光大学の日本語コースが廃止になってしまったので、日本人ガイドがいなくなってきているから、だから外国語大学からガイドになる人を、国が作っていると説明していました。

北朝鮮のガイドさんです。
韓国人・中国人より日本人に似てる気もします。


※※※


さて、話を北朝鮮旅行の申し込み方法に戻します。

この朝鮮国際旅行社の平壌にある本社へ直接連絡を取る方法はほとんど公開されていません。

なので、日本人が北朝鮮旅行に行く場合、朝鮮国際旅行社の海外支社か、海外の代理店へ問い合わせをして、それら経由で朝鮮国際旅行社へ申し込みをすることが必要になります。

以下に、そのそれぞれの方法について少し解説します。


1.中国にある代理店に問い合わせする

私たちがとった方法がこれです。

中国の大連にある代理店である「大連富麗華国際旅行社(だいれんふれいかこくさいりょこうしゃ)」にメールで問い合わせをし、この会社経由で旅行の申し込み、ビザ申請、決済、切符の手配まで依頼しました。

この大連富麗華国際旅行社で、私たちとメールのやりとりをしてくれたのは金さんという方です。
(大連富麗華国際旅行社の総経理(代表)も金さんという人だそうですので、もしかしたら代表自ら対応してくれていたのかもしれません。)

金さんからのメールの日本語はほぼ完璧で、すごく楽に話をすすめることができました。
(ただし、メール内の全ての日本語は敬語なのですが、全てのメールの最後だけは「以上、よろしく。」とフレンドリーに締めくくられていました。)

大連富麗華国際旅行社
http://www.chainavi.cn/dalian/user.html?sid=3952


同社はメールの返信も早くて非常にスムーズだったのですが、一件だけ同社から私たちのgmailへ送ったメールが届かなかったことがありました。

あとでわかったのですが、中国のドメインのいくつかを日本側で制限していた際に、それに引っかかり、届かないということがおこっていたそうです。

もし、大連富麗華国際旅行社からのメールが届かない場合は、同社を紹介するWEBサイト「大連ローカル」というサイトの担当者のほうに問い合わせすれば、そちらがフォローしてくれるそうです。
(と大連ローカルの「慶次郎」さんという方から連絡がありました。)

大連ローカル
http://www.dllocal.com/


旅行社とつながっている団体のようです。


2.中国にある支社に問い合わせする。

北京と丹東に朝鮮国際旅行社の支社があるそうです。
こちらは日本語が通じるのかも、そもそもそれ以前に連絡が取れるのかもわかりません。


3.日本にある代理店に問い合わせする。

日本の北朝鮮の総代理店は、中外旅行社という東京の旅行会社だそうです。

中外旅行社
http://www.chugai-trv.co.jp/


その他は以下のような会社が日本に代理店としてあるようです。

KJナビツアーズ(旧モランボンツーリスト)
http://www.mrt.co.jp/

ホームページを見ると、韓国と北朝鮮の旅行や留学(北朝鮮に留学できるのかは知りませんが)がメインで、北海道旅行も取り扱っているようです。

スリーオーセブンインターナショナル
http://www.307.co.jp/

私たちと同じ時期に北朝鮮旅行をしていた日本人の女性はこの会社から申し込んで北朝鮮に来ていました。

「朝鮮国際旅行社の人に『この会社から申し込んだ人は珍しいですね。』と言われた。」
と言っていました。

ホームページのソースを見ると、ホームページのタイトルに
『秘境・特殊地域・海外旅行の手配とお申し込み』
と書いてありますので、秘境旅行に強みがある会社のようです。

シルクロードトラベルインフォメーションセンター
http://www.silkroad-travel.com/

こちらは中央アジアがメインで、北朝鮮旅行も扱っているようです。


なお、大連富麗華国際旅行社以外のいずれの会社とも私たちはやりとりをしていないので、詳細はわかりません。





そういう訳で、私たちは最初に問い合わせをした、中国の代理店である「大連富麗華国際旅行社」の方の日本語が上手だったのと、返信も的確だったので、同社経由で朝鮮国際旅行社へ申し込みを行うことにしました。

最初の問い合わせは、

「アリラン芸術祭りのマスゲームは見れますか?」
「コースや入国ルートはどのようなものがあるのかを教えてください。」

という2点を問い合わせしました。

すると、金さんという方から以下のように返答がありました。

↓↓↓以下、金さんからのメール↓↓↓

こんにちは。
この度は朝鮮旅行に関してお問い合わせをいただき、誠にありがとうございます。

さて、朝鮮旅行に関してご説明申し上げます。

1、ご希望の「アリラン芸術祭り」ですが、大変残念ながら一昨年から中止になっております。
今後もおそらくやらないと思います。アリランがなくても雑技(サ−カス)、子供達の公演、
それから運がよければ話題になっいる「モランボン楽団」の公演も見れますので是非ご検討
なさってください。

2、コ−スとル−トはいろいろあります。北京発着でもよろしいです。出発は何時でもどこからでも
可能ですので日程だけ教えていただければ、それに合わせて組んでみます。

3、モデルコ−スをご覧になられたと思いますが、朝鮮でご希望の見学地などありましたら一度
出してみてください。全部手配できないかもしれないですが、努力はしてみます。
以上ですが、ご不明な点などありましたらご連絡ください。

↑↑↑以上、メールより↑↑↑


「朝鮮でのご希望の見学地などありましたら、一度出してみてください。」とは、なかなか頼もしいと思いました。

私たちの質問のざっくりさを考慮すると、質問の仕方がある程度テキトーでも、丁寧に返答してくれるのではないでしょうか。


これについて、私たちから以下のように回答しました。

↓↓↓以下、私たちからのメール↓↓↓

ありがとうございます。

1.について、アリラン祭りの件、承知しました。
モランボン楽団については、もしできればで結構ですので、行けたら嬉しいです。

2.について、北京発平壌行き、平壌発北京行きで、お願いさせていただければと思います。
北京まではこちらで航空券を取りますので、北京空港か、北京市内のどこかから行ければと思います。
なお、北京か中国国内のどこかから、陸路で入るコースを希望したいのですが、可能でしょうか。
(帰りも陸路を希望します。)

日程は5月9日から20日の間で、5日前後平壌に滞在できればと思っております。
この期間の中で、イベントや予算の兼ね合いで、良さそうな工程にできればと思っております。

3.について、第二次大戦と朝鮮戦争について学べる場所、
及び、金日成氏や金正日氏や金正恩氏について学べる場所をなるべくたくさん入れていただければと思います。

あとは朝鮮料理の特に美味しいところへお伺いしたいと思っております。

ご提案いただいても良いでしょうか。

↑↑↑以上、メールより↑↑↑


要は、

・コースは陸路希望
・滞在は5日程度を想定
・戦争と独裁者について学びたい
・できれば、でいいのでモランボン楽団と、旨い朝鮮料理
・その他は、いい感じに組んでほしい

という要望です。


最初はせっかくなので、「北朝鮮らしいもの(マスゲームしか思い浮かびませんでしたが)」を見たい、くらいに漠然と思っていました。

でも、メールのやりとりを通じて、北朝鮮にわざわざ実際行かないと見れないもの、それは「情報統制された国」の実態であり、それを見てみたい、と思うようになっていました。

北朝鮮の中では戦争や独裁者について、どのように教えられ、それを現地の人はどう感じているのか。

世界の文化やニュースに関する情報は北朝鮮に入ってこない(または、歪められて入ってくる)し、逆に北朝鮮の文化やニュースは世界に出て行かない(または、歪められて発信される)という状況の中、どんな文化や会話が広がっているのか。

これを見てみたいと思ったのです。


そして、これを受けて、金さんから来た提案がこちらです。
(クリック・タップで拡大して読めます。)


どうでしょうか?

・太平洋戦争、朝鮮戦争について(どう教えられているのか)学べる
・独裁者について(どう教えられているのか)学べる
・更には社会主義、朝鮮労働党、軍事境界線などについても(どう教えられているのか)学べそう
・平壌だけでなく、農民の生活も見れそう
・さらに、世界遺産、学校、農場、ダムなど見所満載
・温泉、雑技(サーカス)、お寺などのオマケ付き

私たちにとっては、期待していたものにかなり近いレベルに感じました。


費用については、ネットで探していると、1人あたり30万円はかかるとか、いや40万円はかかるとか、そんな情報もありました。

しかし、見積もりを見てみると、地上費(?)、ビザ代金、往復航空運賃(実際は電車で行ったので往復電車賃)の合計で1人176,000円ということで、(韓国なら数万円で行けることを考えると高いですが)思ったより安かったのも嬉しかったです。

ということで、多少の誤字脱字には目をつぶり、特に値切ったり質問したりすることもせず、この内容で申し込むことにしました。


これで、旅行会社選びと、申し込み段階での不明点の確認、行程決めは終了です。

このあと、ビザの申請、支払い、持ち物の確認と準備へと進んでいきます。

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