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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮の共同農場見学 〜青山里・共同農場の見学に行く〜 (3)北朝鮮の農業の成長

金日成時代の誤った農業政策と、青山里(チョンサンリ)方式という誤った進め方により、北朝鮮農業は失敗し、1990年代には300万人近い(というのが有力説です)餓死者を出しました。

しかし、あまり知られていないのですが、その後、北朝鮮の農業は少しずつですが復活を遂げ始めます。



今回の北朝鮮旅行ではその対策も見させてもらいました。


1.北朝鮮の農業の実態

北朝鮮は国連に加盟しているので、他の国と同様、国連や関連機関などの外部機関の査察を受け、その外部機関が食料生産高の統計を発表しています。

1995年より北朝鮮で現地調査を行い、生産高を発表しているFAO(国連食料農業機関)のレポート「朝鮮民主主義人民共和国の作物および食料安全保障評価団特別レポート」によると、北朝鮮の食料生産高は、精米・カロリーベースで年間503万トン。

食料需要料が537万トンなので、30万トンちょっと、不足しています。

そう、不足はしているのですが・・・これが改善傾向にあるのです。

2013年度は生産高で前年比103.9%、これは少なくとも3年連続の増加で、2010年比で118.4%の増加となっています。

FAOの統計による北朝鮮の農業生産高を表にしてみました。

タップで拡大できます。

これくらいの増加か・・・と感じるかもしれませんが、同FAOの資料によると、調査開始以来、最も収穫が少なかったのは「苦難の行軍」の1996年度と1997年度です。

自信も脱北者であり、人権活動家のパク・ヨンミ氏の著書「生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った」によると、この頃の農村では、1日でつかまえた虫1匹しか食べるものがないとか、道ばたに餓死した子供の死体がうち捨てられていたとか、もうめちゃくちゃです。

この1996年、1997年の食料生産高がそれぞれ年間284万トンですので、実は17年間で2倍に成長しています。


かなりの成長と言っていいのではないでしょうか。

特に、2015年の年初に金正恩は「2014年は農業改革が成功し、経済成長を実現した」と自画自賛していましたが、これはあながち間違ってはいないのです。




2.北朝鮮の農業改善の取り組み

金日成時代の農業政策の失敗に

「科学農薬を投入しまくったら、農地の土が使い物にならなくなった」

というのがあります。
(この点については現地ガイドからの説明はもちろんありません。)


それを受けて、青山里共同農場の副代表いわく、今は農薬をあまり使わず、堆肥などを使って土地改良を行っていることが成果につながっていると言っていました。


この手間のかかる堆肥を使った肥料、誰が作っているのかというと、なんと軍が協力して作っています。

農村には軍の設備が併設されており、ここで、夏は軍が、冬は軍と農民が協力してオーガニックの肥料を作っています。

見えにくいですが、この奥のほうの建物群です。

また、農場にはビニールハウスでタニシの養殖(?)をする設備もあります。

タニシは雑草を食べる上に、排せつ物は肥料になるので、ここで育てたタニシを田んぼに放流して、農薬を使わない農業に取り組んでいます。


現地ガイドいわく、化学肥料で土地が酸性化したので、今は堆肥、有機肥料、生物活性剤を使っているとのこと。

また、これにより、味も改良したとのことです。



これ・・・、先進国で研究されている最新の農業の理論と照らし合わせて、なんと、100点と言っていいほど理にかなっています。


また金日成時代の青山里方式の失敗を反省して(・・・とはガイドは言いませんが)、海外から最新の農業技術の資料を農業化学院という国の機関に集約しており、それらの資料を使って共同農場の経営方針を決めているとのことでした。

かつての金日成時代の北朝鮮の農業、かなり終わってました。
実際に大量の餓死者も出ていました。

しかし、かなり疑った見方をしたとしても、今の北朝鮮の農業、なかなかいけてる上に、成果も出ています。

金正恩の数少ない成功した政策を見れたという意味で、今回の北朝鮮旅行の中でもかなり価値があったといえる農場見学でした。

青山里農場の金日成の銅像。
・・・ここだけは、金正恩の銅像建ててあげてもいいんじゃないかな。


北朝鮮の農村の実態を知るにはこちらの本がオススメです。


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