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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮人旅行ガイドに聞いてみた 〜北朝鮮の政治についてどう思うか?〜

北朝鮮を知るのに、ガイドへのインタビューは欠かせません。
まずは、「北朝鮮の政治編」です。




ガイドが言っていることを鵜呑みにしないように、また全てを疑ってかかって「何も得る物がなかった」で終わらないように、差し支えない程度に突っ込んで聞いてみました。

※あくまで平壌在住の現地ガイド(30代・女性)の意見、見解であり、農村の貧困層も含めた北朝鮮の実態や、その他の立場の人の考え方をあらわすものではありません。



1.2016年5月に36年ぶりに開催された朝鮮労働党党大会について

Q:「先日(2016年5月)に開催された党大会は、なぜ開催されたのですか?」

A:「90年代の飢餓や、その後の苦しかった時期の総括として開催されました。」

Q:「それ以前(金日成時代の晩年、金正日時代)、長いこと党大会は開催されなかったが、それはなぜなのですか?」

A:「苦難の行軍だったため、開催できなかったのです。」

Q:「ここで言う苦難の行軍は何を指すのですか?」

A:「自然災害、ソ連崩壊・・・などです。」

Q:「まだ、外交などでは苦しい時期だと思うが、なぜ今開催したのですか?」

A:「だから今、総括したのです。苦しい時代は総括する時期に来た。これからよくなるので、(今の諸問題も)がんばっていこう、という意味です。」

→「ソ連」の言葉が出て来たのは初でした。また、金正恩が、「これからよくなる」というニュアンスを強調して国内に伝えていることがわかります。




2.代々の指導者について

Q:「金正日総書記が亡くなった時はショックでしたか?」

A:「はい。ショックでした。」

Q:「金日成主席が亡くなったときは、どうしていたのですか?」

A:「私は当時小学生だったので、その時の気持ちはよく覚えていないのですが、大人の方は皆『これからどうしていけばいいのだろう。』と言って非常に悲しんでいたのを覚えています。」

Q:「私が小学生に入る少し前、日本でも昭和天皇が亡くなりました。その時に、全てのテレビで一斉にそのことを報じ、街中の店が閉店して喪に服し、大人は皆、悲しんでいました。そのような状況ということでしょうか。」

A:「・・・?はい、たぶん。」

Q:「ちなみに、北朝鮮の人が全員胸についているバッジに、金日成の顔だけ載っているバッジの人と、金日成と金正日の顔が載っているバッジの人がいるが、その違いは何か?」

A:「これは、発行された年次によってデザインが違うだけです。よく、『ランクの違いですか?』と聞かれますが、それはデマです。」

→「えっ?戦争を起こし、朝鮮に攻め込んだ独裁者である昭和天皇が(その後、日本が復興したとはいえ)亡くなったら・・・、そこは喜ぶところではないのか?」という表情にも見えなくもない感じでした。

戦争を起こし、韓国に攻め込んだ独裁者である金日成が、その後復興もできなかったのに、亡くなったら・・・国民が悲しんでいる、というのはある意味当然だと思います。




3.金正恩について

Q:「金正恩第一書記を尊敬しているんですか?」

A:「はい。尊敬しています。」

Q:「どのように?」

A:「若きリーダーに皆が期待しています。」

→金日成が凱旋帰国したのは33歳、金正日が後継者となることが事実上発表されたのも33歳、金正日が後継者となった際に「私が若すぎるというのなら、(同じ若くして指導者となった)金日成の否定と同じだ」と言っています。

現在の金正恩が33歳(ただし正確な年齢は北朝鮮国民は知らない)ですので、これは本当にそう思っている可能性はあります。

ただし、今の20代前半以下の若い人のとらえかたはわかりません。




4.北朝鮮の政策について

Q:「北朝鮮の政策で、一番よいと思う制度は何か?」

A:「朝鮮人は全員無税なのです。さらに家も無料、また小学校から大学まで学費も無料、そして医療費も全て無料、その上、配給もあります。これは世界でも初。これは本当に素晴らしいと思います。」

Q:「農民も無税なのですか?」

A:「以前は年貢のようなものがあったのですが、これは廃止しました。農民は取れた農作物のうち、自分の食べる分を確保し、残りの分を政府が高い値段で買い上げることになっています。これが都市部在住者に配給されます。」

Q:「全て政府が買い上げてしまったら、農民は食べる分がなくなるのでは?」

A:「それはありません。収穫が少ない年は、政府には納めなくてよいのです。」

Q:「農民の食べる分すらないくらいに収穫が少なければ餓死してしまうのではないのですか?」

A:「それはありません。農村は自分で食べる物を作っているので、餓死はしません。」

Q:「配給は今も配給されているのですか?」

A:「はい。配給されています。」

Q:「農民にもですか?」

A:「農民には、年貢がなくなったタイミングで、配給もなくなりました。農民は自分で食べ物を作っている上に、年貢もないので、配給が不要になったのです。」

Q:「でも、飢餓で餓死する農民が出ていますよね?」

A:「いえ、1990年代前半の苦難の行軍以外は飢餓は起こっていないと思いますよ。」

→実態は、農民には自分の食べる分すら収穫がない上に配給までなくなって餓死者が大量に出るほどの飢餓がずっと続いています。

ガイドの話っぷりから察するに、ガイドが私を騙そうとしているのではなく、これは平壌市民には知らされていないのだと思われます。

脱北者であり人権活動家であるパク・ヨンミ氏の著書「生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った」によると、家は無料だけれども監視がついていて引っ越しの自由がない、学費が無料だけれど家業を手伝わないと貧しくて暮らせない、医療費は無料だけど賄賂を渡さないと手術してもらえない・・・などの問題が発生しています。



5.選挙について

Q:「北朝鮮に選挙はあるのですか?」

A:「はい。投票用紙に候補者の名前が書いてあり、信任・不信任を投票します。不信任の場合のみ、×をつけます。」

→これは建国時にこの方法で選挙を行い、朝鮮労働党のみの国会が成立した際に国際社会から非難された方法です。今も続いているようです。



北朝鮮の農村の実態について、よくわかる本はこちら。
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