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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮がわかるオススメ本 「そうだったのか! 朝鮮半島(池上彰 著)」

数々の北朝鮮関連の本の中で、朝鮮戦争から金正恩までの北朝鮮の歴史を理解するのに、一番よいと思うのが、ジャーナリスト・池上彰氏の渾身の著作であるこの「そうだったのか! 朝鮮半島 (そうだったのか! シリーズ)」です。


何がどうよかったのか、解説します。




1.とにかく詳しいのに、とにかくわかりやすい

おそらく日本で「ニュースをわかりやすく解説する」という点において、ナンバーワンの評価を得ているのがこの池上彰氏だという点は異論がないと思います。

池上彰氏は、こどもにもわかるニュース番組という新しいコンセプトの「週刊こどもニュース」で有名になり、数々の著書は出すそばからベストセラー
、カバーするジャンルは政治、経済、外交、歴史、宗教、科学技術、気象現象、医療など幅広く、テレビ解説に引っ張りだこという人気っぷり、池上彰氏をぞんざいに扱った人は大手新聞だろうと政治家だろうと片っ端から叩かれるという、国民栄誉賞級の人気です。

その人気が示す通り、池上彰氏の著作はどれを読んでも内容が深く、わかりやすいのがよい点です。


この著書でも、表現がわかりやすく、一般的な歴史本で使われている表現が伝わりにくい場合は、都度そのニュアンスを解説してくれるので、感覚的に理解できる。

「金日成がソ連に逃げたのは「苦難の行軍」として知られていますが、要は逃走です」とか、「ソ連と中国が北朝鮮の金日成を訪問し、金日成がやった党籍剥奪処分を撤回させます。要は露骨な介入です。」とか、「国際原子力機関の調査官を国外に退去させ、核拡散防止条約からの脱退を表明、要はロシアと中国が信用できないからアメリカと直接協議するためにわざと核危機を引き起こしたのです。」とか、ニュアンスが理解できるのです。


また、とにかく具体的な解説が豊富でわかりやすい。

たとえば、「第二次大戦中、金日成は抗日闘争でたいした成果をあげてなかった」という点を解説するのに、「1937年6月に小さな町を攻撃したが、警察5人は逃げて無事、背負われていた警察官の子供が死亡、日本人の料理店店主も死亡、日本側の被害はこれだけ。」とか、「金日成の政策が失敗して飢餓を招いた」という点を解説するのに「耕地を増やそうと山を段々畑にしたが、その際に森林を伐採しすぎて山に保水能力がなくなり洪水になって田んぼがめちゃくちゃになったり、段々畑に向いていない一年草のトウモロコシを植えろと命令して結果減収した」とか、具体的な話が絶妙のタイミングで出てきます。

この、「詳しさ」と「わかりやすさ」の両立という点で、この本がベストだと思うのです。




2.裏付けが豊富

よくある北朝鮮本は「あるパイプを持つ、その筋では有名な、いわゆる事情通」が「独自の情報源で得た情報によると」という、よくよく聞いてみたら噂レベルの域を出ない北朝鮮本も多いです。

独自の情報源から得た情報は、それはそれで貴重なのですが、このような出所のよくわからない話だけをもとに話をしても、そこから考えた考察は噂話で盛り上がっているレベルをすぎないように感じるのです。

その点、池上彰氏は、テレビの出演を減らしてでも取材の時間を割くほどの現場主義、取材主義で有名です。

池上彰氏は2007年と2012年に2回北朝鮮に取材で訪問しているそうですが、その際に実際に目で見て確認した内容がこの著書にふんだんに盛り込まれています。

また、この著書では「主要参考文献」として約70冊の文献をもとにまとめられていて、文献をもとに分析した項目については、どのような裏付けをもとに、どのような人が書いた、どのような著書に、どのように記述があるのか、まで明らかにした上で解説しているので、噂レベルの話がほとんどないのです。

噂レベルの話を信用して、その情報を友達に話したら、実はそれはデマで、恥をかいた、みたいな心配なく読めるのが魅力です。




3.北朝鮮と韓国の関係性を理解しながら学べる

この本のテーマは「朝鮮半島」で、北朝鮮の歴史と韓国の歴史をそれぞれ解説しています。

その中で北朝鮮と韓国の関わりが学べます。

北朝鮮で金日成が「抗日闘争の英雄」という神話を作ったことが影響して韓国では李承晩(イスンマン)が「韓国臨時政府の継承」という神話を作ったとか、朝鮮戦争で韓国側にいた朝鮮労働党員は北側として戦う予定だったがいざ開戦したら逃げただけでなくかなり韓国に寝返ったとか、北朝鮮が軍事境界線の下に韓国につながるトンネルを掘ったら韓国側のトンネル出口が観光地になっちゃったとか、関係性や関連性に関する記載がたくさんあります。

また、北朝鮮と韓国を対比して解説してくれているので、北朝鮮と韓国の意外な共通点や、ここは真逆なんだ、みたいな点が学べます。

「抗日闘争に勝って北朝鮮に自由をもたらした」という金日成神話と「戦時中に中国で韓国臨時政府を作り戦った」という李承晩神話が結果的に同じ反日につながったとか、金日成も李承晩も海外からやってきて大国の支持をバックに独裁者化して同じタイミングで粛正したり強引な憲法を作ったとか、北朝鮮だけでなく韓国もアメリカと交渉するために核を交渉カードに持ち出したことがあるとか、似たような構図が学べます。


総合的に見て、北朝鮮の歴史を学ぶなら一番の良書と言っていいと思います。
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