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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮の観光スポット 〜科学技術殿堂へ行く〜

金正恩の肝いりで2015年10月に作られた、科学技術殿堂という博物館を見に行きます。



ジャーナリスト・池上彰氏の著書「そうだったのか! 朝鮮半島 (そうだったのか! シリーズ)」に、北朝鮮の農工業の発展(と崩壊)の歴史と、核開発の歴史がまとめられています。

1963年のキューバ危機のとき、キューバ(と、その背後にいるソ連)とアメリカが一触即発になった際、ソ連はキューバを守るのではなく、キューバの意向に反してアメリカとなあなあの和解をした、これが北朝鮮から見たキューバ危機の歴史観です。

これを受けて、北朝鮮は「アメリカとソ連が好き勝手にやっても、周辺国は核を持っていない限り何も出来ない。周辺国がいざアメリカに狙われてもソ連は守ってくれずに、いきなりアメリカと和解したりするので、自らの身は自ら核で守るしかない」と北朝鮮が考えた、というのは有力説です。


また、リビアのカダフィ大統領が核開発に踏み切ろうとした際に、アメリカが核開発をやめるよう介入し、結果、カダフィがアメリカと和解して核開発をやめたら、その後カダフィ打倒派が出て来た際、NATO(北朝鮮から見たらイコールアメリカ)はカダフィ大統領ではなく、なんとカダフィ打倒派を支持した、これが北朝鮮から見たカダフィ政権崩壊の歴史観です。

これを受けて、北朝鮮は「アメリカは核を持った国には攻撃してこないが、核解除すると、平気で政権転覆勢力に味方する。やっぱり、アメリカから自らを守るのは核しかない」と北朝鮮が考えた、これも有力説です。


一方、北朝鮮には、自国の科学技術の発展の遅れにより、農業、軽工業と同様に、核開発に遅れをとった、という反省があります。

自国で核開発できる技術者がいないから、ソ連に核開発を教えてほしいと頼み込んだところ、

教えてやる代わりに核拡散防止条約に入れ、とソ連から条件を出される

仕方なく入ったら、アメリカに「核実験するな」と圧をかけられる

それでも核実験をやりつづけていたら、経済制裁される

貧困・飢餓がさらに進む

という悪循環になった歴史があります。


これらを受けて金正恩は「自国独自の(核開発できる)科学技術者の育成」を国の重点テーマとすることを決めます。


北朝鮮が、次の国家的重点テーマに取り組む際、最初にやるのは、そのシンボルとなる建物づくりです。

「これからは主体(チュチェ)思想に染める!」と決めたら主体思想塔という塔を建てますし、「これからは工業生産額の成長率を上げる!」と決めたら、その成長計画のシンボルである千里馬(チョンリマ・伝説の馬です)の銅像を建てます。

そういうわけで、金正恩が2015年に建てたのが、この科学技術殿堂です。

北朝鮮人の現地ガイドいわく、建物のデザインは金正恩の指示です。


建物全体の模型を見るとわかりますが、モチーフは「核」です。

メッセージ性、強すぎです。


見どころを解説します。




1.当然ですが、ここにも独裁者

建物を入ると、金日成・金正日が、(おそらく)未来の平壌で科学技術殿堂をバックに微笑む、肖像画があります。


一人は1994年に死去、もう一人は2011年に死去した人が、なぜ2015年に出来た建物の前に建っているのか、という絵ですが、きっと心の中にいるということなのでしょう。


中に入ると、緑色のいすが並んだ広場があります。

ここで休んだり、語らったりする場所ということかと思います。


この中の一つのいすに、札が立っています。

ガイドの説明いわく、2015年に金正恩がここに指導に来られ、このいすに座ったとのことです。


北朝鮮旅行ではこのような説明はしょっちゅう出てきます。

「偉大なる金日成主席は何月何日にこの場所で指導して・・・」とか、「偉大なる金正日総書記は生涯で3回、この碑を訪問され・・・」とか、こんな説明が北朝鮮の見どころでもあります。


講堂では学会を開いたり、ドキュメンタリー映画を上映したりしているそうです。

講堂にも肖像画があります。

北朝鮮の人にとって、ここでプレゼンする人、すごくハクついて見えるんだろうな。



2.施設の広さと、全然使われていない感

この広場は吹き抜けになっていて、各フロアではこの吹き抜けを囲んで、大量のパソコンが並んでいます。

この光景はなかなか美しいです。
パソコンはデル社のもの。デルのパソコン製造部門は中国の企業に買収されましたので、友好国から大量に輸入したということでしょう。


ガイドいわく、このパソコンは3,012台あり、ここに来た人は無料で使えるそうです。

いや、インターネット通じない国で、そんなにパソコンあって、何人使うんだろう・・・と思い、各フロアを回った際に使っている人を数えてみました。

各フロア、5〜6人くらい、30人はいないと思います。
稼働率で1%以下・・・。

プロパガンダ動画を見ていました。
家のテレビでも見れるだろう・・・。



この3,000台以上のパソコンと、30人以下の利用者に囲まれて、真ん中にロケットがそびえ立っています。

「いえ、核ミサイルではありません。人工衛星の打ち上げです。」と言い張って打ち上げたあのロケットです。

テレビのニュースで何度もやっていたので、「おおお・・・これか。」となります。



上のフロアは、社会人向けのフロアです。

医療機器の展示、パタンナーのための人体測定器、トウモロコシの加工過程の紹介、栄養学が学べるパネル展示がされています。

医者が模擬手術をしたり、機械の使用方法を聞きながら体験したりできるそうです。

いや、こんなの、新しい機械が出たらすぐ意味なくなるだろうに・・・。

それに、トウモロコシの加工過程とか、栄養学って普通、学校でこんなパネル展示以上のこと学ぶでしょう。


工場の模型もありました。

何を学ぶのかはわかりません。



このエリアは、本当に1人も人がいません。

ガイドに「どのくらい人が来ているのですか?」と質問してみました。

「この部屋は1月にオープンしたのですが、毎日のように人が来ています。」

と言っていました。

「毎日のように」ということは、1日に1人も来ない日もあるということです。

・・・でしょうね。


蔵書のコーナーは12カ国34分野10,000冊の蔵書があるそうです。

このコーナーも人はゼロでした。




3.下のフロアの、子供向けエリアは意外と楽しい

子供向けエリアは、学校の理科の授業で習った内容を実験とか、遊具とかで体感できるコーナーがあります。


これは、滝の模型です。


これは、風力と、ヨットが進む仕組み。


これは、森と野生動物。


これは、コンピューターとバーチャルバドミントンで対戦、Wiiみたいなものです。


このコーナー、大人が行っても、意外と楽しいです。
(この手のが好きな人ならば、ですが。)


最後は、子供向けの読者コーナーを見学して、終了です。

これだけ理系の展示をしておいて、読書コーナーの著書は、ほぼ政治的プロパガンダ本でした。


この施設を作った背景を知るには、こちらの本がオススメです。


北朝鮮の観光スポットの口コミはトリップアドバイザーでも調べられます。
世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で北朝鮮観光地の口コミを見る
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