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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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平壌の観光スポット 〜千里馬銅像を見る〜

北朝鮮の名物「国家課題のシンボル建物」の一つが千里馬(チョンリマ)銅像です。



ジャーナリスト・池上彰氏の著書「そうだったのか! 朝鮮半島 (そうだったのか! シリーズ)」に、北朝鮮の経済政策と、その象徴である千里馬運動の解説があります。



1.千里馬銅像ができた背景

北朝鮮は(というより、金日成は、ですが)朝鮮戦争で街がぼろぼろになったあと、軍事力強化の必要性を強く感じます。

兵器などを作る重工業をもっと発展させなければ、と考えました。

いっぽうで、街はぼろぼろになっているので生活物資も足りず、重工業を発展させようにも、働く人も少なく、元気もありません。



こんなとき、工業発展を遂げるためには、大きく2つのやり方があります。

(1)まず軽工業を発展させて、市民にお金と物資を充実させてから、重工業に取り組む

(2)つらいのを市民にはなんとか耐えてもらって、いきなり重工業に取り組む

過去、戦争で焼け野原になった国が重工業を発展させて経済成長した例は、ほぼ上記(1)です。

ところが、金日成は(2)を選びました。
(2)でうまく行った国は、歴史上ほぼありません。


この(2)をやりきるために最も大事なこと、それは「気合いと根性」です。

なので、金日成は5カ年人民計画という「気合いと根性」だけで経済発展を実現するという計画を作りました。

その上で、この計画を超過達成するために、全国の人民を指導(という名の、単なる励まし)をしてまわりました。


この無謀とも思える戦後復興プラン、なんと、成功します。

1956年に金日成が訪問した最初の製鋼所で、こんな励ましをします。

「(1日に千里走るという伝説上の馬である)千里馬のように、「気合いと根性」で働いて、5カ年計画より多くの目標を達成しろ!」

と。


金日成は、抗日抗争と朝鮮戦争の偉大な英雄、ということになっていますので、この言葉に製鋼所員が燃え上がります。
(当時は本当にそんな状況だったようです。)

まさかの「気合いと根性」を見せ、目標を超過達成します。


これを受けて、「全国民よ、みんな千里馬のように「気合いと根性」でがんばろう!」と、政府が全国に向けてただひたすら「励まし」ます。

この励ましを受けて、気合いと根性でがんばった、というのが「千里馬運動」です。


この千里馬運動、まさかの大成功に終わります。

当初の5カ年経済成長計画もかなり背伸びしたものだったそうですが、超過達成してしまいます。


第二次大戦の前から、朝鮮半島を占領していた日本軍は、朝鮮半島の南側は農業中心、北側は工業中心としてそれぞれ開発をしていました。

そのため、北朝鮮は建国時から韓国より工業が進んでいたということもあり、この千里馬運動の頃には韓国を上回る経済発展を実現しました。


この千里馬運動の中で「これからは重工業をがんばれ!」というメッセージ(と励まし)を伝えるために、建てられた銅像がこの千里馬銅像です。


今後の国家的重点テーマを押し進める際に、まずシンボルとなる建物を建てるというのが北朝鮮の基本パターンです。



2.北朝鮮現地ガイドの歴史認識

上記は千里馬運動に対する、現在の一般的な歴史認識です。


これに対して、北朝鮮人の現地のガイドの説明はどうでしょうか?

千里馬銅像を解説する現地ガイドの説明は以下のような感じでした。



ガイド:
「朝鮮(北朝鮮)の工業は、1950年頃まで日本の植民地であったため、開発が遅れていました。」

(いや、戦前は建てた工場はほとんど日本のもので、それも戦後、全て朝鮮政府が勝手に国営化してるじゃないか・・。)


ガイド:
「その後、朝鮮戦争を経て北朝鮮は焼け野原になり、米軍は『北朝鮮は100年経っても復興しないだろう。』と言いました。それほど壊滅的にやられたのです。」

(これはアメリカの誰が言ったのか不明だけど、米兵には言う人いそう。)


ガイド:
「アメリカにそのように言われるほどの状況だったのですが、わずか5年で目覚ましい戦後復興を遂げたのです。」

(これは確かにすごい。時代もよかったのと、ソ連と中国からの経済援助が効いたのでしょう。)



ガイド:
「敬愛する金正恩第一書記は、『今は万里馬の時代だ。』だ、とおっしゃって励ましてくださっている。」

(いや、第一書記、今も気合いと根性の時代なのか・・・。)




3.千里馬運動のその後

この千里馬運動の奇跡の(と言っていいでしょう)大成功を受けて、北朝鮮はどちらへ向かったか。

当然ですが、金日成も金正日も千里馬運動の乱発に走ります。

千里馬運動が終わったら、すぐ「次の千里馬運動、少しあけてまた「新たな千里馬運動」・・・。

金正恩なんて、このご時世「いや、万里馬だ!」なんて言ってる状態です。


労働者の気合いと根性もそんなに何十年も持つわけがなく、技術革新もなかったので、経済発展はどんどん陰っていき、今の北朝鮮につながった、とのことでした。


千里馬銅像は少し離れたところから写真を撮るくらいで訪問を終えましたが、見どころはその北朝鮮らしい歴史のシンボルであるというのと、「馬、かっこいいな」というあたりでしょうか。


千里馬銅像の向かいには、悪名高いモランボン劇場が建っています。

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