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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮料理 (3)ドキドキの犬料理、代表格の犬汁を食す

有名な話ですが、北朝鮮には犬料理の文化があり、その代表的な料理が「犬汁(いぬじる)」です。



日本には昔から捕鯨をしてクジラを食べる習慣があり、それに対して、海外の鯨を食べる習慣のない国で「キモい」とか「非人道的だ」とか日本が炎上したことが話題になったことがありました。

同じように北朝鮮には昔から犬食(けんしょく)文化があり、それに対して、今は犬を食べる習慣があまりない日本で「キモい」とか「非人道的だ」とか言われて、北朝鮮が主にネット上などで炎上したこともありました。


取り急ぎwikipediaを見てみると、ここには北朝鮮の犬食文化は新石器時代からのものであると説明されています。

こちらによると、文献や発掘調査をもとに見てみると、日本でも、縄文時代あるいは弥生時代から犬食がはじまり、江戸時代の5代目綱吉の生類憐みの令をきっかけに一般的でなくなったとする説が有力だそうです。

また、韓国ではつい最近まで一般的であったが、1988年のソウルオリンピックで欧米諸国の批判をかわすために犬食の取り締まりを開始します。

オリンピック直前対策あるあるです。


ところが、犬食愛好家と犬料理店はそんなことを言われても困るわけで反発します。


オリンピック後は、

「ヤミ営業の犬肉店を政府も黙認」状態が続く
 ↓
2002年の日韓共催ワールドカップの際に、FIFAから韓国政府へ「犬肉を追放してくれ」と要請が来る
 ↓
韓国(及び当時のFIFA副会長であったチョン・モンジュン)が拒否
 ↓
2008年には改めて食肉動物に認定された
 ↓
ところがそれに対して、今度は動物愛護団体は反発・・・という状況のようです。
つまり今は、韓国では犬肉を食べていいよ、という流れでしょうか。

犬食文化(wikipediaより)




そういうわけで諸説あり、様々な意見あり、いろんな人の様々な思惑あり、の犬食文化ですが、食糧難の北朝鮮の人に取っては貴重なタンパク源です。

なかでも、これをダシで煮て食べる「犬汁(いぬじる)」については、現地のガイドいわく、冷麺・チヂミ・ボラのスープと並んで朝鮮4大名物料理と称されるメジャーな料理だそうです。


食べたい日本人、食べたくない日本人、食べる人のことを気にしない日本人、どん引きする日本人など諸処いると思いますので、それは各自で判断していただくとして、私は食べに行ってきました。



北朝鮮では犬肉のことを「タンコギ」(甘い肉という意味)、犬汁のことを「タンコギタン」(タンは参鶏湯(サムゲタン)の湯で、甘い肉の湯という意味)というそうですが、私たちについた北朝鮮の日本語OKのガイドさんは日本語で「犬汁」と読んでいました。


今回の北朝鮮旅行では途中のレストランの料金などは全てツアー料金に含まれていたので、他のレストランでの食事の代金はわかりませんが、ガイドに聞いたところ、私たちがレストランで食べた犬汁は、1食なんと3,000円だそうです。

牛肉、豚肉よりも犬肉は高価なので、そうなるとのことでした。

ガイドは平壌出身(つまり、身分制度の最上流階層)で、おそらく現在の北朝鮮の農村の飢餓の問題を正しく知らないからだと思いますが、「犬汁は庶民料理」と言っていました。

いや、餓死者が出続けている国で、1食3,000円の食事が「庶民料理」って・・・。


また、同ガイドいわく、冬は極寒になる北朝鮮では、体を温める手段として犬汁が重宝されているそうです。

真冬はオンドル(朝鮮半島で使われている暖炉のようなもの)で部屋を暖め、窓を閉め切り、汗をかきながら犬汁を食べて暖まるのが冬の過ごし方だそうです。





※※※

自身が脱北者であり人権活動家のパク・ヨンミ氏が北朝鮮農村の生活をなまなましく記した著書「生きるための選択 ―少女は13歳のとき、脱北することを決意して川を渡った」によると、北朝鮮の農村ではだいぶ実態は異なるようです。

同著によると、特に身分制度の最下層の農民たちは、現代でも当局の監視のもと、食料がない日は山で虫や草を取って食べ、電力が来ない時(停電のほうが長いそうですが)は、エアコンもない上に、割れた窓から差し込む風に耐えながら家族で身を寄せ合って冬を越えるそうです。

今回の北朝鮮旅行で私たちに犬汁の解説をしてくれたガイドさんの真剣な表情と、その他の話から総合的に判断すると、平壌出身・平壌在住のお嬢様であるこのガイドさんは、この事実を知らないのだと思いました。

だから「平壌の人にしか手が届かないが、平壌では普通に食べられている贅沢料理・贅沢文化の犬汁」について、「北朝鮮では普通に食べられている庶民料理・犬汁」という解説をしたのだと思います。



※※※





話を犬汁レポートに戻します。

現地ガイドいわく、「犬汁は白米ではなく粟(あわ)飯と一緒に食べ、飲み物は焼酎がオススメ」とのことで、それに前菜のキムチを添えた犬汁定食(?)をいただきます。



犬汁にも色々な調理法があるそうですが、私たちが食べたのは参鶏湯風の味付けでした。

高麗人参を香辛料とともに煮詰めた白湯スープに、犬肉が入っています。



それを手元の1人用のコンロで煮詰め、煮立ったら、ネギ、ニンニクなどの薬味を入れ、食べます。




味は、これ、かなり旨いです。

スープは、韓国料理店などで出てくる参鶏湯と同様、よくダシが聞いているので、薄味なのに味に深みがあって、体に染みます。

たまに韓国の地元の参鶏湯店に入ると、現地風味ゴリゴリの強ーい参鶏湯が出て来ることがありますが、そのような臭みはないので食べやすく、薄味なのに飽きません。


ドキドキのタネであった犬肉の方も、味は羊肉かコンビーフのような感じ。

肉の臭みが苦手な人は犬肉の焼いたののようなのは苦手かもしれませんが、今回食べた参鶏湯風犬汁は、参鶏湯のスープで煮て臭みを中和しているので、かなり食べやすいと思います。

煮た犬肉の見た目は、少し筋のあるコンビーフ、みたいな感じなので、そう言われて食べればわからないと思います。


粟飯と合うと言われましたが白米とも合うと思いますし、焼酎と合うと言われましたがビールや日本酒もよく進みそうです。

その上、参鶏湯と同様、二日酔いの時に食べても癒されそうです。


参鶏湯は鶏肉に白米を詰めて香りのあるスープで煮るので旨いのだと思いますが、北朝鮮の犬汁はその真逆で「(鶏肉と違って香りの強い)犬肉に、(白米と違って素朴な味の)粟米を、(一緒に煮るのではなく)合わせ、(薄味だけど深みのある)スープで煮る」という、違う食材でそれぞれを調和させる調理法なので合うのだと思います。

犬肉(や犬肉を食べる人)に抵抗がなければ、ですが参鶏湯好きの人は、北朝鮮の犬汁はかなり楽しめるのではないかと思いました。

冬に参鶏湯を食べるとめちゃくちゃ癒されるように、冬に食べる犬汁は癒されることだと思います。


日本では当然、犬肉自体がほとんどどこでも売られていないので、冬に「朝鮮半島の独特の味付けの、肉と煮た健康スープ」を楽しむのであれば、参鶏湯(サムゲタン)を楽しむことになります。

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