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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮が朝鮮戦争で「勝利」と言うのはねつ造か?洗脳か?いや一理あるのか?(1)「戦勝」の定義から分析する(前編)

北朝鮮では朝鮮戦争についてやたら「勝利した」という表現を使いますが、これが一理あるのか、それともただの洗脳なのか、を検証するには「勝利」の定義の確認から必要です。



この記事では、「戦勝勝利」とは何かから見たいと思います。

世界中には、人や立場により色々な「戦勝」の定義があります。

北朝鮮だけが一方的なことを言っているのではなく、世界中で色々な人が、自分たちの意見で色々なことを色々言っています。


オスマン・東ローマ戦争でローマ帝国を滅亡させたオスマン帝国のように「攻撃により相手国を滅亡させた」というわかりやすい戦勝もありますが、これは近代以降、レアケースです。



日清戦争の日本のように降伏文書に調印させ、賠償金と遼東半島の割譲をゲット(ただし、遼東半島はその後三国干渉を経て返す羽目になった)、ついでにこれをきっかけに不平等条約も解消した、みたいな、かなりわかりやすく勝って目的もだいぶ達成したけど、本当の敵はそこじゃなかった、みたいな勝利もあります。

※当時の日本政府は、日清戦争終結の下関条約の時点で、遼東半島の返却くらいは折り込み済みだった、つまり遼東半島を返す羽目になるのは予定通りでまずはそれ以外の部分が欲しかった、とするのが有力説です。

日露戦争の日本のように降伏文書に調印させたけど、賠償金はもらえなかった、でも今調印するのがベストだからよかった、みたいな、「降伏させたのにそれでいいのか」みたいな勝利もあります。




歴史観について、学者などの間で有力説として「開戦当初の目的を達成したら『戦争に勝利』」というものがあります。


でも、これってなんだかおかしいと思うのです。

その意味では、極東と東南アジアの自主独立を目的としていた大東亜戦争(戦後呼び名が変わって太平洋戦争)は、日本は戦勝国。
(この説を取っている学者は今でもいます。)

アメリカは経済成長や経済覇権を強固にすることを目的としていたという意味では戦勝国。


でも一方で、日本はあの焼け野原っぷりとその後あっさり相手国(建前上は国連ですが)に占領統治されたようすはどう見ても敗戦国でしょう。

アメリカだって、当初の第二次大戦の目的にあった「東欧をドイツから取り戻す」という目的は結局ソ連のスターリンが達成しているという点では敗戦国です。

※この説は「ウェデマイヤーレポート(日本語訳書「第二次大戦に勝者なし」ウェデマイヤー回顧録)」という欧米では有名な文献でも挙げられている説です。
日本人の書いた最近の本では「常識から疑え! 山川日本史 近現代史編 」の下巻 (Knock the Knowing)にわかりやすく解説されています。


さて、戦勝についてです。

学者さんはそれが仕事なので、今後も調べたり、定義について議論してもらえればよいと思うのです。

しかし、いずれにしてもこの定義だとなんだか実態に即さない「戦勝国」「敗戦国」がたくさん出て来て、あるいは「戦勝国しかいない戦争」「敗戦国しかいない戦争」などがたくさん出て来て、話が進まないことが多いのです。

当面、このブログでは、戦いの勝ち負けと、目的を達成したしてないを、分けて話を進めます。

降伏させた・滅亡させた・賠償金を獲得した・戦後に占領統治した・・・のように「国どうしの戦いに勝った」と判断できる結果があればこれは『戦争に勝利』とします。

そして、開戦当初の目的を達成したら『戦争に成功』とします。

この定義で話を進めていきたいと思います。




この定義で判断すると、

・日清戦争は、日本は国どうしの戦いには勝って、戦後処理は一時的にはうまくいって目的もほぼ達成したので、
「日本は戦勝、かつ短期的には戦争に成功」

・日露戦争は、日本は戦闘には勝ったが戦後処理がうまくいかずポーツマス条約の内容はイマイチ、ただしロシアを食い止めるという目的は達成したので
「日本はほぼ戦勝と言っていい和解、戦争に成功」

・太平洋戦争は、日本は戦闘に負け、当初の目的を達成したが、想定以上の敗戦ダメージを受けたので、
「日本は敗戦、かつ当初の戦争目的から見たら戦争に成功しているが、国の運営という視点では戦争に失敗」

・太平洋戦争は、アメリカは戦闘に勝ち、当初の目的は一部達成、一部見達成なので
「アメリカは戦勝、経済面では戦争に成功し、東欧確保という視点では戦争に失敗」

と定義したいと思います。



次回は、この定義で朝鮮戦争を検証してみたいと思います。



日本に関連性の高い、かつ近代の戦争や歴史の解説は、倉山満氏の解説が詳しくてわかりやすいです。
朝鮮戦争の解説(下巻のほうです)も短くわかりやすくまとまっています。







ウェデマイヤーレポートはこちら


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