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よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

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北朝鮮の観光スポット 〜主体思想塔にのぼってみる〜

北朝鮮旅行で、これもかなりの確率で行くのが主体(チュチェ)思想塔です。だいたいの北朝鮮の観光ガイド本にも載っていますし、市内のだいたいのところから見えるので、北朝鮮旅行好きなら皆知っていると思います。




1.主体思想の歴史

北朝鮮人の現地ガイドいわく、主体(チュチェ)思想とは、「朝鮮人民が主体的になって革命を実現しよう」という考え方だそうです。



ジャーナリスト・池上彰氏の著書「そうだったのか! 朝鮮半島 (そうだったのか! シリーズ)」には、主体思想の考え方と、その発想がもたらした北朝鮮の悲劇についてもまとめられています。


同著によると、主体思想とは、「人民が主体的に判断・行動することが大切である」という考え方だそうです。

これだけ読むと普通ですが、北朝鮮の主体思想はここから一歩踏み込んで、「人民が主体的に判断・行動するためには、ただしい指導が必要である。」と、おかしな論理展開になっていきます。

さらに「そして、正しい指導とは、もちろん偉大なる金日成同志の革命思想である。」と。

つまり、

・人民には主体的に判断・行動する権利もあるよ。
・むしろ、金日成はそれを応援するよ。
・具体的には、金日成の指導に全て従ってね(・・・!?)

という思想です。



なぜ金日成の言うことを聞かせるために、こんなにまわりくどい理論を作ったのかと、これもソ連と中国の情勢に影響を受けたというのが有力説です。

1953年にソ連の独裁者スターリンが死去すると、その後、後にソ連の大統領となるフルシチョフが、過去のスターリンの悪政をことこまかに暴露するスターリン批判が起こります。

これを受けて、スターリン式のやり方を尊敬・踏襲していた中国・毛沢東が、フルシチョフを思想上の敵と見なし、中ソ対立が起こります。

これを受けて、金日成はいかに中国とソ連の両方と仲良くするかに腐心することになります。

中国の考え方も尊敬してます、ソ連の考え方も尊敬してます、それを中国とソ連の双方に伝える必要が出てきました。

でも、そのためには、中国式でやるとソ連に説明するわけにも、ソ連式でやると中国に説明する訳にもいきません。

新しい北朝鮮式を考える必要が出てきました。



さらに、このスターリン批判を受けて、「スターリンのように強引に国民を締め付けるやり方、間違ってたのかな?」と考えたハンガリーなどのソ連の同盟国が、少し締め付けをゆるめた途端、市民から革命の動きが起こったりします。

これを受けて、東側諸国はスターリン式でもダメだけど、締め付けをゆるめるだけでもダメなんだ、と気づきます。

そして、金日成はスターリン式とは違う、何か新しい、できれば独自の理屈で国民の締め付けを行う必要があると考えるようになります。


この「中国とソ連の両方にご機嫌を取る」と「新しい国民締め付けの理屈を作る」の2つの目的でできたのが、北朝鮮独自の「主体思想」でした。


とりあえず、こんな背景を受けて、金日成は「主体思想」という思想を打ち立てるに至りました。


この主体思想の「主体」は「国民が主体(のていを取るものの金日成が独裁)」という意味と、「(ソ連式でも中国式でもない)北朝鮮が主体的に進める社会主義革命」という意味があるということです。

この辺の説明は、もちろん現地ガイドからはありませんでした。



2.主体思想塔ができた背景

1970年代から、金日成は金正日への後継を始めます。

韓国と同様、儒教国である北朝鮮では親孝行が美徳とされます。

金正日は国民から認められるために、父の金日成の考え方を大切にする姿勢をアピールしまくります。

その中のひとつとして1982年に金日成の70歳の誕生日を記念して、金正日の命令で主体思想塔を建てました。


高さは70メートルで、これは世界で最も高い石塔です。

70メートルなのはもちろん、金日成の70歳にちなんでいます。


使われている石の数は365×70で、金日成の生きた日数を意味しています。
(閏年があるので、生きた日数とは一致していませんが。)


金日成が凱旋してしばらく経ってから、ある日突然、パリのよりでかいという凱旋門が建てられましたが、それと同じ理屈です。




3.主体思想塔に行ってみる

私たちが行った日は雨でした。


主体思想塔の前には、朝鮮労働党のシンボルの銅像が建っています。

現地ガイドいわく、朝鮮労働党の旗は、鍬(くわ)、鎚(つち)、ペンから成っていますが、これは農民、労働者、勤労インテリを指していて、これらで協力して革命を押し進めようという意味だと説明していました。


主体思想は高さは70メートルしかないので、ビルにすると15階建て相当くらいでしょうか。

結構高く見えます。

大阪の通天閣なんかはかなり低くてすぐ近くまで行かないと見つからないのですが、それでも100メートルなので主体思想塔の1.5倍あります。

主体思想塔のほうが高く見えるのは、周りに何もないからだと思います。


主体思想塔の1階には、世界各国の主体思想を信奉する団体から贈られた石碑があります。

1970年〜80年代は、北朝鮮は農業も文化も発展した「地上の楽園」として金日成が世界に宣伝していて、それは主体思想が素晴らしいからだ、と考えた団体が世界にも実際にいたということです。

そして、今だと考えられませんが、日本にも主体思想を信奉する団体、金日成を信奉する団体などがいくつかありました。

日本キムイルソン主義研究会常任委員会だそうです。

常任委員会があるくらいなので、何か定期的に活動していたか、活動しようとしていたことまでは伝わりました。

日本教職員チュチェ思想研究会連絡協議会だそうです。

こちらも連絡協議会があるということは、ある程度全国的な組織立ったと思われます。

こんなのがいっぱいあります。

千葉県朝鮮問題研究会連絡協議会


安井田鶴子氏。原水爆禁止運動をされていた方のようです。

まさか、金正日政権以降、こんなことになるとは・・・とお思いになったことでしょう。

日本青年チュチェ思想研究連絡協議会


チュチェ思想研究兵庫県連絡協議会


チュチェ思想研究東京連絡会


金日成主席著作研究会全国連絡協議会


大阪チュチェ思想研究連絡会



上記は主体思想塔の入口付近に貼られていたもので、1970年代のものが多かったですが、更に中に入ると、もう少し新しい年代のものもあります。



キムジョンイル著作研究会全国連絡協議会

「偉大なキムジョンイル同志万歳!」キム「ジョンイル」のほうを讃えるものがここに追加されているようです。


この塔はエレベーターで一番上まで登れます。

一番上に行くと、展望台はなんと屋外です。

何かの建物と、金日成・金正日の肖像画が見えます。


下に見える緑色のものはプールだったと思います。


こちらが有名な金日成広場です。よくテレビに出る、軍事パレードしたりするところです。


この向こうに羊角島ホテルがあるのですが、見えません。


雨でだいぶ霧雨がけむっていたので景色はあまり見れませんでしたが、晴れていれば綺麗な景色なのでしょう。

この雨の中、屋外で霧を眺めてもしょうがないので、一応写真だけ撮って、すぐに退散しました。



バスに戻ったら、バスの運転手もまさかこんなに早く帰ってくるとは思わなかったようで、どこかに行っていました。

しばらく雨の中バスを待ち、主体思想塔を後にしました。



北朝鮮旅行は、お願いすればある程度柔軟にスケジュールを組んでもらえますので、もし雨であれば別日に組み込んでもらうようお願いするのをオススメします。


主体思想とその歴史についてはこちらの本がわかりやすいです。


北朝鮮の観光スポットの口コミはトリップアドバイザーでも調べられます。
世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」で北朝鮮観光地の口コミを見る


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