忍者ブログ

よくわかる北朝鮮旅行2016年5月 by 神谷奏六

Home > ブログ > 北朝鮮の本 > 北朝鮮がわかるオススメ本 「北朝鮮に消えた友と私の物語(萩原遼 著)」

北朝鮮がわかるオススメ本 「北朝鮮に消えた友と私の物語(萩原遼 著)」

北朝鮮の歴史、中でも特に、帰国事業、公安の監視、強制収容所など、北朝鮮政府の弾圧の歴史を知るのに一番オススメなのが、この「北朝鮮に消えた友と私の物語 (文春文庫)」です。


何がどうよかったのか、解説します。


1.裏付けがとにかく豊富

北朝鮮関連の本は、

「金日成はこういうことを企んでいた(と思われる)」
「独裁者のこの発言から、こんな意図が読み取れる(たぶん)」
「(おそらく)この政策にはこんな狙いがある」
「とある情報筋によると、政府当局ではこんな話がなされていたそうである(誰だよ)」

というような、あくまで予測の域を出ない話が大半の本も多いです。

これだと、北朝鮮の本当のところがわからないというか、これでは、インターネットに落ちている噂・憶測・都市伝説ベースでしか北朝鮮のことを考えることができません。


その点、この本の著者は、何人もの在日北朝鮮人や、現地在住の北朝鮮人にインタビューを重ねて証言をまとめながら、実名を紹介して史実を調べています。

それだけではなく、ワシントンの図書館では、北朝鮮で隠されていたのを米軍が押収した公式文書160万ページを調べ上げ、北朝鮮当局の公式文書に実際に残っている話ベースで史実をまとめています。

だから、「こんなに残虐な出来事があった」「こんなにたくさんの人が殺された」などの話が、全て裏付けがしっかりしているのです。

池上彰氏はこの本の著者の萩原遼氏のことを「ジャーナリスト」と紹介していましたが、この著書を読むと、萩原氏はただの新聞赤旗の記者で、北朝鮮研究はライフワークで行っていたという点も驚きです。


北朝鮮の歴史を学ぶなら、池上彰氏著書の「そうだったのか!朝鮮半島」がわかりやすくてよいですが、その裏付けにこの萩原遼氏の著書を調べていますので、「より詳しく知りたい」「根拠となる文献に直接あたってみたい」という方は、(ワシントンで160万ページ読むわけにもいかないでしょうから)上級編としてこの本がオススメです。




2.有名な悲劇の歴史についてなまなましく書かれていてよくわかる

北朝鮮の悲劇の歴史と言えば、朝鮮戦争でたくさんの人が死んだとか、飢餓・貧困とか、幹部の大規模な粛清とか、最近では金正恩による人権問題にまで発展した強制収容所での惨事などです。

これらは、「ひどいことが行われた」ということはよくある北朝鮮本や、最近の新聞などでも見れますが、実際にそれらを体験した人がどのような経緯で、どのような心情でそのような悲劇を味わったかまではなかなか見られません。



その点、この本では、例えば朝鮮戦争で、地方から連れてこられた北朝鮮軍の兵隊(本当は強制的に牢屋に入れられて兵隊に仕立て上げられた民間人)が食べる物が何もない中で逃避行をした記録とか、仲間の北朝鮮兵が目の前で銃殺される中で韓国兵に見つかった自分だけ生き残った話とか、結局つかまって捕虜にされてから釈放されるまでとかなど、よくある朝鮮戦争を紹介している本ではあまり書かれないなまなましい話が載っています。


北朝鮮ではメディア関係者は徹底して監視されると言いますが、その実際の様子についてどのように監視されていたかが背筋がゾクっとするくらいリアルに描かれていますし、強制収容所についても、鉱山などでの労働がどれくらい過酷だったかとか、そこで3ケ月過ごした人がどのようにぼろぼろになるのかが、エグいほどなまなましく書かれています。

「ひどいことがあったんだね。」で終わらない理解を得られる本になっています。




3.あまり知られていない悲劇の歴史について学べる

この本では、教科書やニュースであまり取り上げられていない北朝鮮の悲劇的な歴史についても学べます。


たとえば、朝鮮戦争では朝鮮半島での戦いはよく紹介されていますが、その前哨戦の舞台となり、一般人も大量に巻き込まれた済州(チェジュ)島の戦いについても詳しく紹介されています。

朝鮮戦争が始まる前に、朝鮮労働党(今の北朝鮮側)と、李承晩(イスンマン)政権側(韓国側)の代理戦争のように済州島の一般民間人がゲリラに駆り出され、多数の死者が出た話なども詳しく載っています。


また、日本にいる在日朝鮮人のあまり知られていない差別問題についても詳しく載っています。

最近のヘイトスピーチは少し話題になりましたが、戦後間もない頃から日本にいる在日朝鮮人(韓国人含む)が差別を受けていて、その実態が紹介されています。

また、朝鮮戦争後、北朝鮮の人手不足の解消を目的とした帰国事業(日本にいる在日朝鮮人の帰国を金日成が歓迎し、日本政府や日本にいる朝鮮人もそれを喜び、多数の帰国が実現した)の問題点と、この帰国事業により帰国した在日朝鮮人が味わった強制収容所でも悲劇についてもなまなましくまとめられています。



虐殺、戦争、監視、粛清、強制収容所、政治腐敗・・・など、北朝鮮についてまわる悲劇的な言葉の実態を、その証拠資料やその歴史と併せて学ぶのにオススメです。












PR

0 Comment

Comment Form

  • お名前name
  • タイトルtitle
  • メールアドレスmail address
  • URLurl
  • コメントcomment
  • パスワードpassword

PAGE TOP